旋盤修理で相談を受けました。
工作機械用小部品の制作などをされている会社から相談です。
「自分とこで使っている旋盤が動かなくなったので
動かない部品を調べて取り換えたけど治らない。
お宅のような専門家に教えてもらいたい。」
「・・・お役にたてるか判りませんがとりあえず伺います。」
電気工事士の範疇には自動制御の分野があり比較的簡単な物なら
ある程度仕組みも理解できます。
(第一種電気工事士では試験にも出ます)
旋盤もリレーとマグネット、リミットスイッチを組み合わせた程度の
シンプルな物なら修理したこともあります。
しかし、例えばNC旋盤のように精密で複雑な機械は
IC基盤やPC(プログラマブル・コントローラ)が入っていて
ちょっと診たぐらいではサッパリわかりません。
不安を抱きつつ工場に御邪魔すると昔ながらの手動半自動の旋盤でした。(良かったあ)
「メーカーも無くなっちゃったくらい古くてさー。
壊れてる部品は判ってるから部品を外して中N電機に持ち込んで。
同じ機能の替りの部品をくださいって現金で買ってきたんだわ。
でも取替たんだけど動かんのさ。
なんで?。」
「調べてみましょう」
こちらの御客様は機械用小部品の制作をしているだけあって
手順ポイントを心得てみえます。
交換前の配線の写真を角度を変えて何枚かに撮って
残しておかれていました。
故障して外した部品も保管してあり、原因究明には大変助かります。
これが外したマグネット(交換前)。
こちら(ピンクの丸の中)が交換後のマグネット。
回路の判別と新旧部品の比較で原因が判りました。
「部品が違いますね。」
「ええーー?!。
専門商社のN西電機に持ち込んで選んでもらったのに・・・。」
同じ様なマグネットですが接点の形式が違います。
今までついていた物は「3a 1b」ですが問屋が用意した代替品は「4a」。
しかも旧来のマグネットは接点の配置が変則的で「2a 1b 1a」でした。
(自分もこの配列のマグネットは初めて見ました。
特注品?)
そのまま取り換えても動かない訳です。
内容を説明して弊社の仕事(レクチャー?)は終了。
社長さんがもう一度N西電機に部品を持ち込んで
掛け合って部品を交換してもらい再度交換に
チャレンジされるそうです。
上手くいくといいですね。
御依頼ありがとうございました。
補足:
マグネット(電磁接触機・電磁開閉器等)には接点の種類と数、容量に
サーマルプロテクタと膨大な種類と組合わせがあります。
なかでもa接点とb接点は基本中の基本。
a接点は普段開いていてコイルが作動すると閉じる(ONになる)、
b接点は逆に普段閉じていてコイルが作動すると開く(OFFになる)。
たとえば「3a 1b」という仕様の場合はa接点が3つ、
b接点が1つ入ったマグネットということになります。
興味のある方は「はらでんフェスタ」へお越しください。
図解と現物で説明させていただきます。
今回も作業はありませんでしたが
出張費・点検費として経費をいただいております。
御依頼の際には上記の点を御理解の上、御用命くださいますよう
よろしくお願いいたします。