コンベアが動かない=安全装置が働いてました。
お得意様の紙器工場からです。
「搬送コンベアが動かなくなっちゃった。
前にフットスイッチが故障だった時と同じ症状だから
今回も(自分で)交換してみたけど駄目なんだわ」
「制御盤内の主幹ブレーカ(ピンクの丸)の入れ直し
と、
マグネットのサーマル(ピンク矢印)のリセット、
を試していただけますか。」
「・・・・・・・やってみた。」
「どうでしょう?。」
「あいかわらず動かない。」
「うーーん、現物を診させていただくしかないですね。」
「忙しいところ申し訳無いが大至急お願いします。
人力とリフトで代用していますが搬送が滞って・・・」
「わかりました。」
日が暮れかかっていましたが至急現場に向かいます。
初見の機械は仕組みや働き、電気の回路を理解する所から始まりますので
結構大変です。
今回は制御盤図が残っていたので助かりましたがそれでも小一時間ほど
機械の周りをウロウロ調べ回ってようやく原因が判りました。
コンベアに人や商品が巻き込まれないようにとコンベア左右にガード(オレンジ色の鉄板)が
あるのですがそのガード上端にセフティバー(水色矢印)が設けられています。
細いトラガードのような鉄棒が下がるとリミットスイッチ(緑色の矢印)が作動する仕組みです。
本来なら
> 人や物がガードの上に乗る(水色矢印)
> バーが押し下げられる
> バーの先端がリミットスイッチ(緑矢印)を作動させる
> コンベア停止
となる仕組みです。
ところが機械の振動や商品の落下など、何かのはずみに誤ってバーが下がったとしても
リミットスイッチが作動してしまい本体が停止してしまいます。
バーを上に引き上げて戻さないとそのまま動かなくなってしまう仕組みなのですが、
セフティが作動したかどうかを表示するランプなどは有りません。
仕組みを知らない作業員の方にとっては「なんで停止したか判らない、故障?」となる訳です。
仕組み上、セフティバーが自動で復帰するようにバネなどを組み込んでは
意味がないのでこのまま注意して使っていただくしかないです。
(もしセフティバーが自動で戻るようにした場合は「停止状態を電気的に保持する回路」と
「異常停止の解除スイッチ」を新たに設ける必要があり結構大掛かりな改造工事が必要です)
営繕担当の方に説明して動作確認していただき終了となりました。
「すぐ来ていただけて助かりました。
いつも無理言ってすいません。」
「いえいえ。
電気のトラブルというのはいつもこんな感じですから。」
「そう言ってもらえると気が楽です。
ありがとう。」
すっかり日が落ちて夜になってしまいましたが当日で原因究明できて良かったです。
翌日、報告書をFAXで送って作業される方々に周知をお願いしました。
その後も一度バーが下がって停止状態が再現された以外は全く問題無く
解決したようです。(その時もバーを持ち上げたらすぐに復旧できたとのこと)
さらに工場内で異勤になった前任者は知識として知ってみえたが
現任者に引き継ぎされていなかったのが今回の遠因だったことも判ったそうです。
部品交換などの工事はありませんでしたが調査点検費用として
請求させていただきました。
御依頼ありがとうございました。